はじめに:「自主練習している」=「上手くなっている」ではない
「毎日リフティングしています」「壁当てを続けています」——そう話してくれる選手に出会うたびに、私はとても嬉しく思います。自分から練習しようとする姿勢は、間違いなく大切なことです。
でも、少し立ち止まって考えてみてほしいのです。
「その練習、なんのためにやっていますか?」
実を言うと、これが子供の頃の自分に一番伝えてあげたかった言葉かもしれません。
Glocal Footballでいつも伝えていること——「なぜ?を考える(Think WHY)」——は、自主練習にも同じように当てはまります。ただこなすだけの時間は、時間を「消費」しているだけになってしまうかもしれません。この記事では、一人でボールを蹴る時間を「本当の成長」に変えるためのポイントとメニューを、私自身の経験を交えながら紹介します。
自主練習で大切な3つの視点
1. 「量」より「テーマ」を持つ
日本の育成現場では、長時間・大量の練習が美徳とされることがあります。私も子どもの頃、「とにかく毎日蹴れ」と言われて育ちました。一方、僕がスペイン感じたのは、練習の「目的意識」の明確さです。
自主練習を始める前に、まず自分に問いかけてみてください。
「今日は何を改善したいのか?」
たとえば「左足のインサイドキックをもっとコントロールしたい」「ターンの後のファーストタッチを安定させたい」——テーマがあれば、30分の練習でも十分に深い時間になります。
2. 「試合場面」を頭に浮かべながら蹴る
これは、私がGlocal Footballの指導でも特に強調していることです。自主練習が「練習が上手い子」で終わってしまう最大の理由は、練習と試合がつながっていないからです。
壁当てをするなら、「今、相手が来ているとしたら?」「次のプレーはどこへ出すか?」と場面を想像しながら行う。リフティングなら、「空中でのボールコントロール感覚」に意識を向ける。同じ動作でも、意識の向け方ひとつで全く別の練習になります。
3. 「できない」を大切にする
一人の練習では、誰も見ていない。だからこそ、難しいことに挑戦できる絶好の機会です。
簡単なことを繰り返して「うまくできた」という気持ちよさを得るのか、それとも少し難しいことを繰り返して「できなかった→できた」の感覚を積み重ねるのか。後者の時間が、本当の意味での技術の定着につながります。
小さい頃の自分を思い返してみても、できなかった悔しさの方が自分を成長させてくれたという自負があります。
一人でできる自主練習メニュー
以下は、私がU-14以下の選手たちにおすすめしているメニューです。特別な道具がなくても、ボール一個と少しのスペースがあればできます。
① ファーストタッチ&ターン(壁当て)
目的: ボールを受けた瞬間の置き所を身につける
壁に向かってボールを蹴り、返ってきたボールを「次のプレーに移れる場所」にコントロールする。重要なのは、Glocalのトレーニングでもいつも伝えている「コントロールオリエンタード(止めることではなく、次へ動き出せるタッチ)」を意識すること。毎回「自分がどこへ向かいたいか」を決めてからトラップする。
②逆足でのシュート(スペースがある場合)
目的: 逆足でのフィニッシュ感覚をあげる
試合のシチュエーションをイメージしてシュート練習を行う。ポイントは自分の苦手な足(逆足)でトレーニングすること。誰にもみられていない時間に苦手を克服すること、逆足を練習することで体の動かし方を学ぶ。
③リフティング(数より感覚重視)
目的: ボールの感触・芯をつかむ感覚を養う
「何回できたか」の記録を追いかけるより、太もも・足首・頭など様々な部位を使い、ボールがどう動くかを感じることを優先してください。日本のリフティング文化はとても素晴らしいですが、回数の多さよりも「ボールと会話する感覚」を育てることが大切です。特に、少し高めにボールを蹴り上げ、首を振ってボールから目を逸らしてリフティングを続ける練習は実践むきでおすすめです。
④イメージトレーニング(道具不要)
目的: 認知・判断の速さを鍛える
これは道具も場所も要りません。試合の映像を見ながら「自分ならどうする?」と考える。もしくは、直近の試合で「あのシーンをもう一度やり直すとしたら?」と振り返る。スペインのコーチたちは、ピッチ外での「頭の練習」をとても重視していました。
最後に:自主練習は「自分と向き合う時間」
チームの練習は仲間と一緒に成長できる時間です。でも、自主練習は違います。それは、自分だけが自分の弱さと正直に向き合える時間です。
ニュージーランドで暮らしていると、子どもたちは日本に比べて自由な時間と場所が多くあります。その時間をどう使うかは、選手自身の意識次第です。
「うまくなりたい」という気持ちがある選手へ。
ただ蹴るのではなく、考えながら蹴る時間を、ぜひ積み重ねてみてください。その積み重ねが、試合の中で必ず光る瞬間になるはずです。
親御さんへ。
子供が考えるようになるためのサポートをしてあげてください。ただし、サッカーを楽しむという気持ちが一番大切であることを忘れないでください。やらされているうちは、上手くなりません。
何か相談などあればお気軽にご連絡ください。一緒にサッカーを考えていきましょう。
Glocal Football is a football school based in Christchurch, NZ, offering small-group coaching for players up to U-14. We aim to help young players grow not just as footballers, but as thinkers — on and off the pitch.
