24.「うちの子のポジション、本当に合ってる?」 ― 育成年代における“ポジション適性”について考える ―

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導入|「このポジション、合ってるのかな……」という悩み

保護者の方と話していると、よくこんな相談を受けます。

「うちの子、いつもディフェンスをやらされてるんですけど、本当はもっと点を取れる子だと思うんです」
「フォワードをやりたがってるけど、正直センスがあるようには見えなくて……」

チームスポーツである以上、誰かがどこかのポジションに入らなければいけません。そして子ども自身も、親から見ても、「なんとなく合っていない気がする」という違和感を抱くことは珍しくないと思います。

今日はこの「ポジション適性」というテーマについて、僕自身の経験と意見、そしてそれとは少し違う視点の両方から考えてみたいと思います。

1. 僕はセンターバックとキーパー以外、全部やらされた

僕自身の話をすると、育成年代を通してポジションが全く固定されていませんでした。サイドバック、ボランチ、トップ下、サイドハーフ、フォワード……センターバックとキーパー以外は、ほぼ全部経験したと思います。

正直、当時は「なんで自分がここをやるんだろう」と思いながらプレーしていた時期もありました。フォワードで結果が出せずに悩んだこともあれば、サイドバックで守備の感覚が掴めずに苦しんだこともあります。その瞬間だけを切り取れば、「合っていない」と感じることの連続でした。

でも今、ミッドフィルダーとしてプレーする機会が多い中で、当時の経験がすべて活きていると感じます。フォワードをやっていたから、味方がどのタイミングでパスをもらいたいかが分かる。サイドバックをやっていたから、サイドの選手がどんな助けを必要としているかが分かる。「そのポジションの気持ちが分かる」というのは、実際にそこでプレーしてみないと得られないものだと思っています。

2. 「いろんなポジションを経験しておいた方がいい」という僕の意見

ここが僕の一番伝えたいポイントです。

育成年代、特にU-11やU-14くらいの年代では、ポジションを固定しすぎない方がいいというのが僕の考えです。理由はシンプルで、その時は「合っていない」と感じていても、将来別のポジションに移ったときに、その経験が必ず生きてくるからです。

サッカーは、自分のポジションの役割だけを理解していればいいスポーツではありません。周りの選手が何を考え、何を必要としているかを理解して初めて、本当の意味で「良い選手」になれると思っています。それを頭で教えるのは簡単ですが、実際に体験しないと本当の意味では身につきません。

だからこそ、育成年代のうちにいろいろなポジションを経験させてあげることには、目先の結果以上の価値があると僕は思います。

これは僕だけの話ではありません。日本代表の長友佑都選手は、高校生の頃はボランチとしてプレーしていたことで知られています。プロになってからサイドバックにコンバートされ、そこで一気に才能を開花させ、日本を代表する選手になりました。もし高校時代にボランチの経験がなければ、あれほど攻撃的で判断力に優れたサイドバックにはなっていなかったかもしれません。「今のポジションが、将来も自分のポジションだとは限らない」ということを象徴するエピソードだと思います。

3. とはいえ、別の見方もできる

ここからは、僕の意見とは少し違う視点も提示してみたいと思います。ポジションの経験を広げることには確かに意義がありますが、一方で「早い段階から一つのポジションを深く掘り下げる」ことにも、見過ごせない価値があります。

例えばキーパーは、その典型です。キャッチング、ポジショニング、飛び出しの判断など、他のポジションとは全く違う専門技術が求められます。育成年代からある程度キーパーとしての専門トレーニングを積んだ選手と、他のポジションを転々としながらたまにキーパーをやる選手とでは、技術の積み上がり方が根本的に違います。

また、心理的な側面も見逃せません。子どもによっては、「自分の居場所」がはっきりしていることで自信を持ってプレーできるタイプもいます。ポジションが頻繁に変わることで、「自分は何の選手なのか分からない」という不安を感じてしまう子も一定数いるはずです。特に自己肯定感がまだ安定していない年代では、「ここが自分の場所だ」という感覚が、プレーの積極性そのものを支えていることもあると思います。

つまり、「多様な経験」と「専門性の深化」は、どちらが絶対的に正しいというものではなく、子どもの性格や成長段階によってバランスを変えるべきテーマなのだと思います。

4. Glocal Footballとしての考え方

ここまで「ポジションを固定するかどうか」という視点で話してきましたが、実はGlocal Footballの根本的な考え方は、もう一歩手前にあります。僕たちのトレーニングには、そもそも「ポジション」という概念自体がありません。

どういうことかというと、子どもがどのポジションでプレーしていようと関係なく、僕たちが鍛えているのは「サッカーというスポーツをプレーする上で全員に必要な基礎技術」です。止める、蹴る、運ぶ、周りを観る、判断する——これらはフォワードにもディフェンダーにも、キーパー以外の全ての選手に共通して必要な力であり、ポジションによって優先順位が変わるものではないと考えています。

例えばRondo(鳥かご)のようなトレーニングでは、攻撃側も守備側も、狭いスペースの中でパスを受け、判断し、体を使って相手を外すという同じ課題に取り組みます。これは特定のポジションのための練習ではなく、サッカーそのものの基礎を全員で共有する時間です。

だからこそ、僕たちのチームでは「今日はフォワードの練習」「今日はディフェンダーの練習」という発想自体がありません。子どもたちは自然といろいろな役割を経験しますが、それは意図的に「ポジションをローテーションさせている」というより、そもそもポジションを区切る必要がないトレーニングを組んでいるからです。結果として、3章で触れたような「広く経験することの価値」も「基礎技術という土台がある上での専門性」も、この考え方の延長線上に自然と含まれていると思っています。

まとめ

もし今、お子さんのポジションについて「本当に合っているのかな」と感じている保護者の方がいたら、それを短期的な結果だけで判断しないであげてほしいと思います。今合っていないように見えるポジションでの経験が、数年後、全く別の場所で花開くことは、僕自身の経験からも決して珍しいことではありません。

同時に、お子さん自身が「ここが自分の場所だ」と思えるポジションを見つけたときは、その気持ちも大切にしてあげてください。広さと深さ、そのバランスを一緒に見守っていけたらと思います。

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