21. 「王者たちが見せたもの」― W杯準決勝2試合から学ぶ、育成年代へのヒント ―

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導入|明日のファイナルを、少し違う視点で

いよいよ明日、W杯決勝です。ゴールやスーパープレーはもちろん見どころですが、決勝を「もう一段深く」楽しむための視点を、今日は準決勝の2試合から見つけた気づきとして共有したいと思います。ボールを持っていない時間、そしてプレッシャーの中での振る舞い方。

この2つに注目してみると、明日の試合の見え方が少し変わるかもしれません。

1. Spain vs France|スペインのポゼッションサッカーを支えているもの

スペインのボール支配、そしてパス回しは本当に美しく、見ていて魅了されます。もちろんパス回しは彼らの1番の武器です。しかし、今回の試合で僕が特に注目していたのは「ネガティブトランジション」、つまり攻撃から守備への切り替えの速さでした。

ボールを失った瞬間、スペインは近くにいる複数の選手が一斉にフランスの選手へと襲いかかるように寄せ、ボールを奪い切る場面が目立ちました。そうすることで、エンバペをはじめとするフランスの強力な攻撃陣を最小限に抑え込んでいたのです。

実はこれ、僕自身がスペインに渡ってプレーした時に、一番衝撃を受けたポイントでもあります。もちろん彼らのパス回しのレベルの高さにも驚かされましたが、それ以上に鮮明に覚えているのは、自分がボールを持った瞬間、背後から追いかけてくるプレッシャーの激しさです。日本、ニュージーランド、オーストラリアで経験してきたどのプレッシャーよりも強烈でした。

このことから言えるのは、彼らの美しいパス回しは、この激しいネガティブトランジションなしには成立しないということです。そして彼らは、幼い頃からこの厳しいプレッシャーの中でパスを回す練習を積み重ねてきています。その積み重ねこそが、W杯という大舞台で世界中の人々を魅了するパスサッカーの礎になっているのだと思います。

2. Argentina vs England|何度もトライし続けるメンタリティ

アルゼンチンの貴重な同点ゴールを生んだのは、エンゾ・フェルナンデス選手の華麗なミドルシュートでした。実は彼はこの試合、同点ゴールが生まれるまでに同じようなミドルシュートを3本も打っていました。そのうちの1本はあまりタイミングの良いものではなく、チームの絶対的な存在であるメッシに少し注意されるシーンもありました。

それでも彼は怯むことなく打ち続けました。その結果として、あの同点ゴールが生まれたのです。

果たして、あれほどのプレッシャーの中で、同じようなチャレンジをあなたは続けられるでしょうか。正直に言うと、僕には自信がありません。アルゼンチンの選手たちを見ていると、メンタリティというものが根本から自分たちとは違う次元にあるような、そんな気迫を感じます。

このエピソードから伝えたいのは、プレッシャーに負けないチャレンジ精神の大切さです。チャレンジすることをやめた瞬間、成長は止まってしまいます。だからこそ、どんな舞台であっても、臆することなくチャレンジできる選手になってほしいと思います。

おわりに

「切り替えの速さ」と「失敗を恐れないチャレンジ」。この2つは、決してトップ選手だけのものではなく、育成年代の選手たちにも今日から意識できることです。明日の決勝では、ぜひこの視点も持ちながら試合を楽しんでみてください。

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